積もる時間が作る美味しさ

新緑の八十八夜の季節に摘まれた若芽が、夏を越して成熟した大人の茶葉に生まれ変わります。
冷蔵倉庫の茶びつの中で人の手を全く加えず、じっくり・ゆっくり旨味を茶葉に蓄えました。
宇治茶ならではの気品高い香味を存分に味わっていただける逸品です。

茶づくり名人･下岡清富氏に会うため
京都府宇治田原町を訪ねました

伊藤久右衛門：
下岡さんの茶園で作られている、お茶の種類を教えて下さい。

下岡：
メインは玉露。他に煎茶、かぶせ茶、碾茶など一般的なほとんどの茶種をつくってます。

伊藤久右衛門：
年々、消費者に好まれるお茶のタイプは変わっているのでしょうか？

下岡：
僕がやり始めてから肥料を親父（下岡久五郎氏）と相談して変えました。消費者の好みが香りの良いお茶から味重視に変わってきたので。旨味がでるように動物性有機を肥料に加えたりしました。
でも全体が味重視になると逆に「昔ながらの香りの良いお茶はないの？」という声も聞いて。そういう良い特徴も残したい、残していこうと。
おおまかには世間の好みに合わせますが、守らんとあかんところは守っていこうと思ってます。

農林水産大臣賞受賞茶師、下岡清富氏

日本緑茶発祥の地・京都府宇治田原町で生まれ、至高の茶作りを手掛ける下岡清富氏。
高級茶の栽培に強い信念をもって取り組まれており、栽培・管理・製造全てに長年培われた"こだわり"が感じられます。
日本一の栄誉である農林水産大臣賞を3回受賞。名実ともに宇治茶を代表する茶作り名人です。
天皇杯受賞茶師であるお父様、下岡久五郎氏より匠の技を受け継がれています。

下岡清富氏 受賞歴

「第75回全国茶品評会・かぶせ茶部門」農林水産大臣賞（令和3年）
「第68回関西茶品評会・玉露部門」農林水産大臣賞（平成27年）
「第69回全国茶品評会・かぶせ茶部門」農林水産大臣賞（平成27年）

下岡さん自慢の玉露茶園で作られた「宇治玉露」

下岡さん自慢の玉露茶園です。
4月下旬から茶園上にある黒い寒冷紗（かんれいしゃ）で茶葉を覆って日光を遮断し、新茶の準備にかかります。これによりリラックス効果のあるテアニンが茶葉に蓄えられるのです。約20日間日覆いを続けた後、5月中旬から茶摘みがはじまります。
丹念に熟成したものが「蔵出し玉露」となるのです。

蔵出し茶ができるまで

（1）日光から茶葉を覆います
玉露や碾茶は茶の新芽が出る頃、茶園を葦簀（よしず）や寒冷紗で覆います。
直射日光を遮ることで、葉に旨味を蓄えます。

（2）茶葉を熟成させます
新茶時期に摘まれた茶葉は荒茶工程を終えた状態で茶葉専用の保管箱「茶びつ」に入れ、夏の間冷蔵庫で保存します。
この間、人の手は全く加えず自然の状態で茶葉の熟成を待ちます。

（3）さらに茶葉を選りすぐります
熟成具合を検査します。そこで再度、上質の茶葉のみを選りすぐり、「蔵出し茶」として仕上げ加工をおこないます。

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