Kyoto tsu

京都通

  • 2008/5/2

第76回 京都地主神社『運命の人とめぐりあえる、恋の神様』
第77回 京都地主神社『世界平和を願い、縁と縁を結ぶ』

良縁めぐりにおきばりやす。

縁結びの神様として女性たちに人気の高い「京都地主神社」。
世界各地から、良縁を求めてやってくる参拝者で賑わっています。
清水寺を見晴らすような高台の境内は、小ぢんまりとしたお参りしやすい広さです。
大国様と可愛らしいうさぎに出迎えられたら、恋のエピソードに彩られた数々の良縁スポットを、ひとつひとつたどってみましょう。

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「恋占いの石」に願いをかけた後、本殿の左手へ行くと、大田大神のお社に。
そこには、材質、大きさもまちまちの大国様がいくつもおられますが、金色のお姿が「撫で大国さん」の愛称で親しまれています。
撫でる部位によって、開運、商売繁盛、受験必勝など、それぞれのご利益がいただけるそう。
ちなみに良縁祈願のご利益は小槌で、多くの人が撫でたらしい跡形が見られます。

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次に、軽く打つと良縁がいただけるという「しあわせの銅鑼(ドラ)」。
三度鳴らしながら、良縁を祈願しましょう。

そして、ひとつだけなら必ずご利益がいただけるという、一言成就の「おかげ明神」。
特に女性の守り神として厚い信仰があります。
それは、後方に立つ「いのり杉」との関わりがあるためです。
江戸時代に、丑の刻参り(うしのときまいり)が女性の間で行われることがありました。
それは、丑の刻にわら人形を五寸釘で、ご神木に打ちつけ、相手を呪うというもの。
ちょっと恐ろしいような歴史を起源としていますが、そこには悪縁を絶ち切ってこそ良縁という「おかげ(神の助け)」がいただけるといった、深い考えが根づいているからです。
悪い縁は断ち、良い縁を結びましょう。

七夕の夜に恋の願いをかけるんどす。

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地主神社には、良縁のみならずユニークな祈願所がたくさんあります。
商売繁盛、家内安全、開運招福のご利益があるといわれる「栗光稲荷様」、開運を呼ぶ「水かけ地蔵様」。
「はらえ戸大神様」は、心についた不浄をはらうといわれ、取り除いてほしい数々の病気や不安などの悩みを、人形(ひとがた)に書き、桶の水でおはらいします。

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一年を通して様々な行事が開催される地主神社ですが、毎年、7月7日に行われる「七夕祭」は、恋愛成就の最大のお祭り。
男女一組の紙の「七夕こけし」に、自分の名前と想いを抱いているお相手の名前を書き込んで固く結び合わせます。
本殿前に立てられた竹笹に吊るして、恋が成就するよう祈るのです。
もし、思う相手がいなければ、理想像を書きましょう。

当日は午後2時から楽しいお祭りが開催。
お祭りに参加できない人は、当日までに、「七夕こけし」を奉納すれば、お祭りで祈祷していただけます。
直接参れない、遠方の人も郵送でき、全国各地から寄せられた「七夕こけし」が大きな竹笹にたくさん結ばれ、華やかな光景です。

七夕は、古くから日本の五節句のひとつとして、その日に願い事をして笹に吊るすと願いが叶うと言われてきました。
今年は七夕様の星に願いをかけて、夢とロマンにひたってみませんか。

かいらしいお守りが、ぎょうさんおますえ。

縁むすびを全面的に応援してくれる地主神社。楽しみはまだまだあります。
よく当たると評判の「恋占いおみくじ」で、恋の運だめしをしてみましょう。

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忘れてはならないのが可愛いと話題のお守り。必ず買って帰りたいですね。
良縁や出会い、恋のチャンスに恵まれることを祈願するお守りから、カップルのための「愛のちかい」「ふたりの愛」など恋愛成就のお守り、安産、子授け、厄除、勝守、星のパワーを授かる「星座守り」、「子ども知恵守り」まで、用途別になっており、実に多彩なラインナップです。

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何といっても恋の願いを叶えることが最優先という方には、「恋の願かけ絵馬」がおすすめ。
愛らしい白うさぎを従えた大国様の絵馬に、願い事を書いて奉納すれば、毎月第1日曜日の「えんむすび地主祭り」で、願いごと成就のおはらいをしていただけます。

縁と縁を結んで人々を幸福に導く地主神社。
「良縁がもたらされました」と、喜びの手紙が全国の参拝者から届くそうです。
若い女性はもちろん、なんと最高80歳の高齢女性にも良縁がもたらされたとか。
すべての人に恋の花は咲き、ご縁という実は結びます。
今年こそ良縁を望む方は、ぜひ参拝してみてください。

縄文時代の遺跡「恋占いの石」に深い歴史が隠されてるんどす。

清水寺をぬけて上手へと上がっていくと、大きく赤い「縁」という文字と共に表れるのが京都地主神社。
地主神社の歴史は非常に古く、創建されたのは神代時代。
日本の建国前とも伝えられ、あまりにその歴史は深く、明確にはされていません。

ただ最近のアメリカの原始物理学者、ボースト博士の研究により、本殿前の「恋占いの石」が縄文時代の遺跡であると証明されました。
宗教の場の証しとして、当時の人々にとってストーンサークルのようなものだったということです。

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現在、境内にある「恋占いの石」は東西に二つあり、一方の石から目を閉じて歩き、反対側の石に無事にたどりつけたら、恋の願いがかなうといわれています。
この行いは、新しいものではなく、昔から伝わる信仰や占いに由来。
「目を閉じて神様の声に耳を傾ける」という基本的な信仰心から発展したそうです。
「お百度参り」や「願かけ」などもそれらの名残りでしょう。
鎌倉時代の古文書にも、例えるならこっくりさんのようなおまじないや占いが出てくるそうです。

目を閉じたまま歩き、的を射るという行為は、近年では「すいか割り」という夏の遊びに残されています。
最近「恋占いの石」が、中国や台湾などにその由来と共に広く紹介されたため、アジアからの参拝者も後を絶ちません。

地主神社は日本の縮図どすなぁ。

かつて、地主神社は地主権現(じしゅごんげん)として、清水寺と一体化されていました。
明治維新の神仏分離令により、寺と神社の習合が廃止となります。
それまでは、神仏は統合されていた事例も多く、神仏が共存し、融合調和しているのが日本の宗教の特徴でした。

現在も有名な「清水の舞台」から、地主神社は北方に位置しています。
古来の中国思想では、南北を軸と考え、星の位置からとらえられた北辰信仰という考え方が基本となりました。
古くから、「星占い」は西洋のみならず、アジアでも行っていたそうです。
星を見ることは、単なる占いではなく、政治や戦争の戦略を練ることとして重要視されてきました。
北に唯一動かない北極星があることから、中国では北を貴いとする考え方が重んじられています。

一方、南北に対して、境内の東西に置かれた「恋占いの石」が意味するものは、神道の考え方である東西に物事の軸を置く日本的な思想。
「南北と東西」、「中国と日本」、「仏教と神道」という二つの基本思想がうまく調和しているのが地主神社なのです。
今なお、神仏融合の平和的な考え方がここには見られます。

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欧米の文化や流行を取り入れつつ、神社仏閣にお参りもし、着物や浴衣も楽しむ現代人。
「多くのものを寛容に取り入れて楽しめるのが日本人。
地主神社は日本の縮図であり、調和を好み対立を嫌う、本来の日本人の心象風景がみられるのです」と、地主神社の中川禰宜は語ります。

元気が出るパワースポットえ。

弘仁2年、地主神社に、嵯峨天皇が行幸された折、境内に咲いている地主桜の美しさに三度車を返されたことから、地主桜は「御車返しの桜」と呼ばれるようになりました。
毎年、春には地主の桜が咲き誇ります。

また、境内のあちらこちらに見られる愛らしいうさぎの像に心を和まされる参拝者も多いでしょう。
大国主命は地主神社の主祭神でもあり、大国様に美しい八上姫をお連れした恋のキューピッド、因幡の白うさぎに由来しています。
平成6年に世界文化遺産に指定された本殿は、法隆寺と同じ双堂建築で、日本最古の建築様式です。

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江戸時代の古文書によると、「恋占いの石」目当てに老若男女が集い、一日中賑わったと、当時の華やかな様子が記述されています。
時代を超えて今尚、多くの人々が陽気に賑わう地主神社は、参るだけで元気をもらえるようなパワースポット。
日本だけでなく、アジア、アメリカ、ヨーロッパなど全世界にその御利益は広まり、各地からの参拝者が今日も集います。

ひとつの宗教、ひとつの思想、ひとつの国にとらわれることなく、いつも多くを受け入れ、全ての人を幸福に導く地主神社。
良縁祈願はもとより、世界各地へ向けて平和を願っています。
活気がいっぱいの京都地主神社へ一度、足をお運びください。

取材協力 : 京都地主神社
〒605-0862 京都市東山区清水一丁目317
電話番号 : (075)541-2097

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