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京都通

  • 2008/12/27

第106回 京都ゑびす神社『都七福神まいりのひとつ、町衆に一番近いゑびす神』

七つの神様が福をもたらしてくれはります

幸運をもたらすおめでたい神様として有名な七福神。
日本だけではなく、インドや中国の神様も宝船に乗って福を運んでくると信仰されています。
皆さんはこの七つの神様を全部知っていますか?
「都七福神まいり」の順番にそってご紹介しましょう。

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まずは、ふくよかなお顔が親しみのある「ゑびす神」。
「京都ゑびす神社」におられる「ゑびす神」は、商売繁盛、旅行安全、大漁などの守護神で庶民を救済する神として信仰されてきました。
まじめに働き精進していれば、必ず「ゑびす神」が財を授けてくれると言われています。
2つ目は「松ヶ崎大黒天」の「大黒天」。打ち出の小槌を持つお姿が有名です。
もとはインドに由来する軍神だったそうですが、日本では商売繁盛の守り神とされています。
3つ目は「東寺」の「毘沙門天」。
こちらもインド出身の北方の守護神。仏教を守護する神として、10種の福をもたらすと言われています。
4つ目は「六波羅蜜寺」の「弁財天」。
七福神で唯一の女神です。ヒンドゥーの女神が仏教にとりいれられたと伝えられ、言語や音楽の神として信仰されています。
5つ目は「赤山禅院」におられる長い頭の「福禄寿神」。
中国の道教の神で南極星を人格化した神です。幸福・高禄(多額の報酬)・長寿の三徳を与えられるとされ、商売繁盛・延寿・健康・除災を祈願します。
6つ目は「革堂」の「寿老神」。
中国の老子が天に昇って仙人の姿となり、後に神になったと言われています。
人々の難を払ってくれる団扇を持ち、福財・子宝・諸病平癒・長寿をもたらすと言われています。
そして7つ目が「万福寺」におられる、大きなお腹の「布袋尊」。
中国・唐の時代に実在した禅僧がルーツであると伝えられ、人々に大きな福をもたらすと言われています。

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7つの神様を全部お参りする「七福神まいり」は、近年大変人気があります。
各地に「七福神まいり」はあるようですが、京都が発祥の地。
「都七福神まいり」は日本最古と言われ、京都で室町時代に民間信仰から生まれました。
7つの社寺を参拝する人の多くは、大護符(色紙)を持って御宝印を授けられています。

初ゑびすはお祭りムードいっぱいえ

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「都七福神まいり」の参り方・順序などルールは自由ですが、一般的に一番初めに参るのがゑびす神。
ゑびす神をお祀りしている「京都ゑびす神社」は、その起源が800年前と言われている歴史ある神社です。
西宮・大阪今宮神社と並んで日本三大ゑびすと称され、「京のえべっさん」の名で親しまれています。
禅の祖と言われている栄西禅師が建二寺を建立する際、まず「ゑびす社」を守護神として建てられたそうです。
その縁起については、栄西禅師が約200年間途絶えていた渡海留学を、無事に成就させた逸話に基づくと伝えられています。
今と違って海外へ赴くのは命がけのことであり、そのような海難危機を救った伝説から「旅ゑびす」として交通安全の信仰もあります。
これらのエピソードから、水と縁が深いと言われ、豊漁の守護神、水難除けの神様として信仰がありました。
ゑびす神が鯛を抱えておられるのに納得しますね。

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インドや中国出身の七福神たちは、とても国際的。実はゑびす神だけが唯一の日本の神様です。
ゑびす大神は大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)の子として、正式には八代事代主大神(やえことしろぬしのおおかみ)を表しています。

毎年1月8日から12日の5日間にわたり、十日ゑびす大祭(初ゑびす)が華やかに行われます。
「商売繁盛でささもってこい」と、謳われるゑびす大祭の象徴でもある笹の由来は、400年前にさかのぼります。
神棚に祀るお札と同じと考えられていますが、民間信仰から生まれたゑびす神にふさわしい親しみのあるお札の形態として、「京都ゑびす神社」が発案したことが、全国に広まりました。
笹は縁起物の松竹梅の竹の葉で「節目正しく真直に伸び」「弾力があり折れない」「葉が落ちず常に青々と繁る」という特徴を持っているため、家運隆昌、商売繁盛の象徴となりました。
庶民派の「えべっさん」として町衆に一番近い神様と言われているゑびす神。
その人気を証明するかのように、初ゑびすは100万人もの参拝者で賑わいます。

都七福神まいりを楽しんどくれやす

七福神信仰は、京の都で室町時代に民間信仰として、日本で最初におこり徐々に全国に広がっていきました。
室町時代は、京都で文化が安定してきた時代です。
「神様参り」は町衆の楽しみであり、娯楽のひとつであったと考えられています。
人々は神様のお参りをしながら、同時に何かを楽しみたいと思いを巡らし、いったい何がいいかと考えた時、「沢山参れば、楽しみもご利益も多くなるはず」といくつもの社寺をお参りすることを考えついたと言われています。

七五三に象徴されるように、奇数を好む日本人らしく最終的に7つの神が選ばれましたが、最初はそれぞれが一番ご利益が深いと思う所へ、個々に参っていたようです。
しだいに人気の高い所が注目されるようになり、ゑびす神をはじめ、人々に好まれた7つの神様が選ばれました。
それを証拠に宗派もバラバラな七つの神が選ばれています。
そのため、社寺が対応に追われたと言われています。

少しユーモラスで身近な容姿で表されている七福神。
町衆たちの強い想いが神様を人格化していったようです。
絵師が絵にし、キャラクター化していくという、文字通り人々から生まれ、創られ、継承されてきた文化だと言えます。
だからこそ、根強い人気に今なお支えられているのでしょう。

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1月には「都七福神まいり」専用の定期観光バスも出て、7つの社寺が参りやすくなりました。
民間信仰に後押しされて成立していった七福神。参り方も自由自在。

「自分の参り方をアレンジして楽しんでほしいですね。
1月の社寺は、お正月ならではのおめでたく華やかな雰囲気と活気がみなぎっています。
600年前に想いを馳せ、都七福神まいりを肌で感じてください。特別なエネルギーを感じとってください。
人々の賑わいや躍動感を肌で感じながら、めいっぱい楽しんでください」と中川久公宮司は語ります。

慌ただしい年の瀬ですが、しばし、目を閉じて神の国からやってくる宝船を思い描いてみてください。
何を感じますか?
福や財など輝かしい幸運をもたらしてくれる七福神。
来るべき年が幸多い年であるよう、あなたの心に幸せが満ちてきますように。

※「都七福神まいり」はいつでも参拝できます。
※十日ゑびす大祭(初ゑびす)2009年1月8日から12日

取材協力 : 京都ゑびす神社
〒605-0811 京都市東山区大和大路通四条下ル小松町125
電話番号 : (075)525-0005

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