Kyoto tsu
京都通
- 2013/4/14
第273回 京都水族館『水の都・京の街中で楽しめる体験型水族館』
オオサンショウウオの姿が間近で見られるんどす
2012年3月、京都駅のほど近くにオ―プンした京都水族館。
海のない京都市内の街中に水族館が誕生したというニュースは、多くの人を驚かせました。
京都市内には海はなくとも、鴨川や桂川、宇治川をはじめ、多くの川が流れ、古くから「山紫水明(さんしすいめい)の都」と称されていたように、水は市民にとって欠かせない存在でした。
水とともに多様な文化を育んできた京都の水族館ということで、京都にちなんだ様々な趣向が盛り込まれています。
では、バラエティーに富んだ9つのゾーンを順にご紹介しましょう。
まずエントランスを入ってすぐの「京の川ゾーン」では、"生きた化石"といわれる国の特別天然記念物・オオサンショウウオを間近でご覧いただけます。
実はオオサンショウウオが生息する鴨川上流では、人為的に持ち込まれたチュウゴクオオサンショウウオとの交雑種が増え続け、深刻な問題となっています。
京都水族館ではオオサンショウウオの展示をしながら、純日本産のオオサンショウウオを増やそうというプロジェクトを進めています。
ちなみにオオサンショウウオは夜行性。
夜は悠々と水の中を駆け回っているのかなと想像しながら、昼間は体を寄せ合って静かにくつろぐ姿をお楽しみください。
そして、「かいじゅうゾーン」ではオットセイやゴマフアザラシがアクロバティックな動きやかわいい寝顔を見せてくれます。
コの字型の水槽の真ん中に立つと、三方が水に囲まれることから、まるでオットセイたちと一緒に泳いでいるような感覚が味わえます。
さらに、筒の形をしたチューブ状の水槽ではアザラシが上下に行ったり来たり。
人懐っこいアザラシが歓迎してくれているのがわかります。
体験プログラムに参加して、思い出を深めてみまへんか
続いてやって来たのは「ペンギンゾーン」。
陸をヨチヨチ歩いていたかと思えば、水中ではスイスイ泳ぎ回ったり…、水族館の人気者ケープペンギンが様々な姿を披露しています。
また、砂場が設けられているのは、ペンギンたちの恋をサポートするため。
オスはこの砂場で枝を集め、穴を掘り、大きな巣を作って、メスにアプローチをするのだそう。
そして、約500トンの水量を誇る大水槽ではエイやクエ、ウミガメなど個性豊かないきものの悠然と泳ぐ姿が見られます。
この大きな水槽には7つのビュースポットがあり、洞窟や魚眼レンズといった楽しい仕掛けもあります。
魚たちを上から眺めたり、下から見上げたり、岩陰にかくれんぼする姿をのぞいてみたり、ここではいきものたちの意外な表情が発見できそうです。
そして、「海洋ゾーン」ではさんごの海にすむ魚や、クラゲ、クリオネなど無脊椎のいきものに出会えます。
磯の教室では、ヒトデやナマコ、ネコザメなどを実際に触って、その感触を知るとともに、いきものの生態を楽しく学ぶこともできます。
また、「交流プラザ」では環境や海をテーマにしたワークショップが季節ごとに開催されています。
現在は「パックン!オオサンショウウオ」と題して、オオサンショウウオがエサを食べる様子を学びながら、工作するプログラムを実施中です(4月26日まで)。
ものづくりを体験することで、水族館の思い出がより色濃いものになるでしょう。
さらに、京都の絶滅危惧種に指定されているいきものを展示している「山紫水明ゾーン」にもご注目ください。
メダカやカエル、カメなど昔はたくさん生息していたいきものが、なぜ姿を見せなくなったのか。
ここではそんないきものの現状や歴史を紹介しています。
さらに、屋外にある「京の里山ゾーン」には、棚田や京野菜を育てている畑などがあり、まさに古き良き日本の原風景が広がります。
イルカのパフォーマンスを楽しんでおくれやす
京都水族館の一番の見どころ、それは180度のパノラマが広がる開放的なスタジアムで展開される「イルカパフォーマンス」。
私たち人間と同じホ乳類の仲間であるイルカたち。
およそ6500万年前は陸で生活していましたが、海で生活するようになると、イルカはその体を流線型に変化させていきました。
さらに、歯がすべて同じ形をしているのは、獲物を逃さないよう進化していったもの。
「イルカってどんないきものなの?」「どうすればイルカと仲良くできるの?」といった生態やコミュニケーションの方法などを、イルカのパフォーマンスとともに知ることができます。
また、観客の中から選ばれたラッキーな方は、イルカと握手ができるというお楽しみも用意されています。
このスタジアムからは、新幹線や東寺の五重塔も眺めることもできます。
その光景に「そうだ、ここは京都だったんだな」と改めて気付かされることでしょう。
そして、京都水族館にお越しの際、是非体験してもらいたいのが「バックヤードツアー」です。
スタッフの案内で、普段はなかなか見ることのできない水族館の裏側へと潜入できるこのプログラム。
"キャットウォーク"で実際にいきものにえさやり体験をしたり、飼育員がえさを調理している部屋を見学することができます。
毎日2回開催され、当日先着順で受け付けています。
京都水族館は展示されているいきものを間近で眺めるのはもちろん、様々ないきものの魅力に触れられる参加型のプログラムも満載です。
取材協力 : 京都水族館
〒600-8835 京都市下京区観喜寺町35番地の1(梅小路公園内)
電話番号 : (075)354-3130