Kyoto tsu
京都通
- 2017/6/17
第323回 京の食文化ミュージアム あじわい館『京の魅力あふれる食文化を"五感"であじわう』
京の食文化をあらゆる角度からお勉強しまひょ
「京都の四季を五感で味わい、京都の食文化に親しむ」をコンセプトに、伝統的で創造的な京の食文化の素晴らしさが実感できる『京の食文化ミュージアム あじわい館』。ここは京都府と京都市が共同運営する施設で、平成25年4月に京都市中央市場の敷地内にオープンしました。
京都市中央市場といえば、日本で初めて開設された中央卸売市場で、今年で90年の歴史を誇ります。その市場にあじわい館が置かれたのは、京の食文化を長年支えてきた食の拠点だから。ちなみに京都中央市場は場外市場がないため、普段は一般の方は入場できませんが、あじわい館はどなたでも見学・利用することができます。
京都はかつて都として栄えたことから、天皇へ献上するために全国から特産物や珍しい食材が集まる環境にありました。展示スペースでは、そんな京の地で長年育まれてきた食文化をさまざまな視点で紹介しています。普段の食卓に並ぶ「季節のおばんざい」、主に商家に伝わる「お決まり料理」、年間を通していただく「行事食」、京料理の源流となる「五大料理」などをサンプルやパネルを通してご覧いただけます。ちなみに、五大料理とは宮中ゆかりの「有職料理」、武家の礼法から始まった「本膳料理」、お寺で食べられる「精進料理」、茶人のための「懐石料理」、そして京都に多い「川魚料理」のこと。また、旬の京野菜を使ったおばんざいレシピも配布もされているので、お家で京都の食卓を再現してみてはいかがでしょう。
語り部さんから、貴重なお話が聞けるんやてなぁ
「せっかくなら、案内を聞きながら理解を深めたい」という方は、「京の食文化の語り部」さんから、展示の解説やミニ講座を受けることができます。語り部さんは現在3名いらっしゃって、野菜や果物を取り扱う京都青果合同株式会社で長年勤務し、京野菜の復興に尽力された「農産物の語り部」蔦川清一郎さんからは、「京野菜の成り立ちや歴史」、「京野菜と他府県産・外国産の野菜の違い」などについてのお話が聞けます。
また、シーフードマイスター、野菜ソムリエの資格を持つ「美味しい魚・野菜の語り部」民野摂子さんから聞けるのは、京都にまつわる魚や野菜の基礎知識から、栄養のことや料理のコツについて。そして、京都府で長年、生活改良普及員として農家や漁家の生活向上のお手伝いをされてきた「食の語り部」黄瀬邦子さんはお茶のインストラクターでもあることから、日本茶の豆知識を聞きながら、「玉露や抹茶のおいしい淹れ方」を学ぶことができます。今年は「お茶の京都」として、さまざまな場所で「お茶の京都博」のイベントが開催されています。こちらでも"お茶"の文化について、気軽にお話が聞けそうです。
そのほか、京都市中央市場の新鮮な果物を使った「フレッシュジュースの試飲」や、京料理には欠かせない「おだしの試飲」もあります。普段、家庭で便利な顆粒タイプのおだしを使っている方は、カツオや昆布で取ったおだしの豊かな風味に驚かれるかもしれません。いくつかのおだしが用意されているので、その味わいの違いを飲み比べしたり、かつおや昆布の粉末を自分好みにブレンドする「おだしパック作り」も是非体験してみてください。
※「京の食文化の語り部」の在館日はあじわい館までお問い合わせください。
※試飲コーナーはどちらも無料ですが、毎日無くなり次第終了します。
料理教室を通して、京の食文化を堪能しておくれやす
「もっと体験がしてみたい!」という方に是非おすすめしたいのが、毎月開催されている「料理教室」です。広々とした調理実習室では、京都市中央市場の食材や京都産の食材を使って、京の伝統食や行事食、おばんざいなどを実際に作って味わうことができます。
料理学校ではないため、毎週通うのではなく、一回ごとに申し込むスタイル。学びたい教室を選んで気軽に参加できるため、リピーターや他府県から来られる方も多く、基本32名の定員枠はすぐにいっぱいになり、キャンセル待ちになってしまうことも。また、講師陣が有名店や老舗店のシェフ、料理研究家など、常に食の最前線に立っておられる方というのも大きな魅力です。
例えば、テレビなどのメディアで活躍する料理研究家・杉本節子先生に、京都の家庭の定番料理をおいしく作るコツや工夫を学ぶ「覚えておきたい定番おばんざい料理教室」、京都の老舗料理屋の次世代を担う若手料理人から、いつもの家庭料理を料亭の味に変えるひと手間を教わる「次世代の京料理人に習う」をはじめ、プロの職人さんからすしの握り方などを直接指導してもらえる「すし教室」や「魚のさばき方教室」など、どれも興味深いものばかり。そのほか、イタリア料理やスペイン料理、お菓子やパンなど、様々なジャンルの料理教室が用意されています。
実際に食材を手に取り、香りをかいで、そして目や舌で味わう。すべての"五感"を通して、京の食文化をより身近に感じてみませんか?
※「料理教室」は事前申し込み制(有料)です。
取材協力 : 京の食文化ミュージアム あじわい館
〒600-8813 京都市下京区中堂寺南町130番地 京都青果センター3F
電話番号 : 075-321-8680
FAX番号 : 075-321-8690